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ORBIONスペースマウスを作成 [3Dプリンター]

かねてから存在は知っていたが、実用性と使用頻度が疑問だった「ORBIONスペースマウス」を作成した。作るネタが欲しかったのと、パーツ代を調べたら安くできそうだったから重い腰を上げた次第。

まずは部品調達。必要なのは電子部品だけなのですべてAliExpressに発注した。先のサイトの推奨パーツは価格が高めだったり納期が長めだったので、一通り他のショップも調べて発注した。総額約3,500円で納期は2週間ほど。ケチったせいで後々苦労するはめになった。(後述)
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製作に関して以下のサイトのお世話になった。お世話になっておいてなんだが、情報が古かったり不正確な部分も少なからずあった。
https://lunar-creation.com/orbion/
https://monohoshi.blog/orbion/
https://plaza.rakuten.co.jp/k98br/diary/202205070000/

まずは樹脂パーツの印刷から。黒と赤銅色のPrusament PETGを使用。PETGである必要はなかったが、渋い赤銅色を使いたかったのと、黒のPETGが残り少なかったので使い切ろうという魂胆でこれらになった。その他にクッション材などでTPUを使うが、これはPolymaker社のサンプルを利用した。写真を取り忘れたのでお見せできる画像はない。

製作の最初は、インサートナット。ナットを熱して樹脂パーツに押し込む。過去一度だけ経験したことがあったが、位置決めやネジ穴が垂直になるように埋め込むのはテクニックが要る。今回は長めのビスにナットを取り付け、ライターで炙ってラジオペンチでつかんで挿入した。直後に小型の曲尺で垂直を確認しつつ微調整した。前回はハンダゴテでやったので直角が取りにくかった。
今回はケチったが専用のインサートナットを使えば位置決めや垂直は取りやすいだろうと思う。なにより専用なので強度が確実のはずだ。力のかかる方向から差し込んでいるので、普通のナットでは最悪抜ける可能性はある。
IMG_3769.jpeg

その後は、配線&組み立てと行きたかったが、今回購入したロータリーエンコーダーに難があり一苦労することになった。
IMG_3784.jpeg一見普通のロータリエンコーダーだが、本家推奨品とは以下が異なっていた。
・軸が短い、データを見るに7mmほど短い
・軸に付いているべき取り付けネジがない
・基板のネジ穴が小さい

まともなものを買い直すことも考えた。しかし単体だと納期2か月とあるし、Amazonでは価格も高めでそれでも2週間以上掛かりそうだったので、現物でできる方法を考えた。いくつかの樹脂パーツの形状を調整して軸が短くても対応できるようにしてデッチ上げた。

そしてようやく配線&組み立てに着手。
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そして完成。さらにソースコードを眺めて、簡単にできる範囲でいくつか好みに合うように修正した。
IMG_3779.jpeg
とあるメタルバンドのロゴを表示。本体の赤と黒もバンドのイメージカラーだ(と勝手に思っている)。

実際にFUSION360で使ってみた。市販の3Dマウスでもそうらしいが、慣れるまで時間がかかるらしい。なのでまだ便利と言えるほどの感想はない。FUSION360以外にPrusaSlicerでのサポートのでき具合を眺めるときに使いたいが、残念ながら現状の機能では所望の動作は無理のようだ。再度ソースコードを眺めてみるか。

ここでは記載しなかったが、作成の過程では細かい現場合わせが多数あった。穴や直径の小さい大きいは茶飯事。いくつかの樹脂パーツの形状修正は必須だった。オリジナルの製作者と全く同じパーツを入手できない限り手間無しで完成させるのは無理だろう。以下がその残骸。インサートナットの練習にも使えたので決して無駄ではなかったと言い聞かせることにする。
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2色マルチカラーフィラメントを試す [3Dプリンター]

以前から存在を知っていて、類似品が安く出ることを期待して待っていたフィラメントを購入したので早速試した。

「2色マルチカラーフィラメント」と言って、断面が半円ずつ2色になっている。確か去年末辺りに登場したが、今回類似品で250g×4本のセットを見つけたので購入した。

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長さ方向に色が変化する「レインボーカラー・フィラメント」はだいぶ前から存在した。この手のフィラメントは、高さが10cm以上あるような大きめの造形物だと見栄えがするので、色変化の周期がそれに合わせて長めになっている。3DBenchyや招き猫のような小物は色変化がほとんどなく、恩恵にあやかれない。

その点このフィラメントは、ある程度の高さがあれば3〜4cmでも違いがわかる。逆に平たいプレートのようなものは色が混ざって出てくるだけなので企画倒れになる。

早速プリントしてみた。
IMG_3751.jpegIMG_3752.jpeg

左右で色が変化する予定だったが、巻グセの影響か前後での色変化になってしまった。エクストルーダーには色が左右になるようロードしたのだが、プリントが進んでいくうちに前後になってしまった。手で左右になるように力を加えてみたが結局前後になり、悪あがきした部分は色変化が不自然な層になってしまった。余計なことはしないほうが良さそうだ。

このフィラメントは、エクストルーダー内でねじれずそのままの向きで吐出することを前提としている。なのでボーデン式では若干不利かもしれない。チューブ内でねじれが発生したり戻ったりすると、造形物の色変化が均一でなくきれいに仕上がらないだろう。

この手のキワモノは、最初のうちは面白がって色々プリントするがそのうちに飽きてしまうのが常だ。なので1kg単位で何本も買う気になれなかった。今回購入したのは、250g×4本のセットだが灰色や銅色など渋めの配色が多く、紫や赤系の色の組み合わせはなかった。福袋のようなもので不人気な配色でセットを作ったのかもしれない。

 

なおこのメーカーは3色マルチカラーまで出している。試してみたいがこれ以上キワモノはあっても困るので当然見送りだ。

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Snapmaker2のCNCを試す [3Dプリンター]

騒音やら粉塵を毛嫌ってなかなか手を出さなかったSnapmake2のCNCを試用してみた。

専用ツールのLubanは、CNCに対しては長らくβ版だったが、いつのまにか更新されて正式対応していた。
LubanのCNC.pngSnapmaker2に添付されていたアクリル板(110mm四方、2.8mm厚)に対し、Vビットでロゴを切削し、周辺をフラットで切断してみる。それぞれのデータは予めDXF形式で作成しておいた。
切削の深さや切断時のタブ(完全に切断せず残しておく部分)の設定など比較的簡単だった。ただし、エンドミルの交換待ちをしてくれるような機能ないので、切削と切断は別データとして保存し、部材を固定したままエンドミルを交換して続行する方法をとった。

加工を始める段になって、付属の固定治具は大きすぎてアクリル板の加工には不釣り合いと気づいた。エンドミルと接触する心配もあったので、3Dプリンタで簡単な治具を作った。アクリル板の厚さに合わせた駒のようなものを数個作り、手持ちのM4ネジで捨板に取り付けた。さらに削りカスを撒き散らさないように、捨板の周辺に囲いを付けた。厚紙を切り貼りして塀を作っただけだ。厚紙なので、エンドミルやXYの各軸が接触してもトラブルにはならない。

加工終了直後はこうなった。
IMG_3737.jpegIMG_3738.jpeg囲いを超えてかなり粉塵が飛んでいる。ないよりマシと言ったところか。ネジが3本しかなく3箇所しか固定していないがなんとか乗りきれた。

加工品はこの通り。
IMG_3736.jpeg
IMG_3744.jpegとあるメタルバンドのロゴだ。周辺の切断はまぁあまぁだが、ロゴの切削は削りカスが残っているのか白っぽくなっている。ほじってみたがきれいにはならなかった。Vビットでこういった加工をするのは邪道なのかもしれない。切れ味が落ちてきたらもっとひどくなりそうではある。
かつてレーザー加工機でこれと同じものを製作したことがあるが、やはりレーザーにはかなわない。この加工には、ロゴの切削はレーザー、周辺の切断はCNCで行うべきか。10Wレーザーなら両方できるのだが。

なお、騒音や振動は多少あるものの気にならないレベルだった。金属加工ができない非力さの上にエンクロージャーの効果もあるようだ。しかし加工エリアが極めて狭いのは残念。捨板は160×160mmだが固定するためのM4ネジ穴は大部内側にあり、今回のアクリル板と同じ110mm四方がサイズの限界かもしれない。A150のCNCはおまけみたいなものか。

タグ:Snapmaker CNC
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多色印刷についてあれこれ [3Dプリンター]

ホビー向け積層型3Dプリンターの多色印刷と言えば、
・Prusa MK3S用オプションの「MMU2S: Multi Material Upgrade 2S」
・汎用多色アダプタのMosaic社Paletteシリーズ
が主流と思われる。いずれも1ノズルだが、2ノズルで2色印刷可能な機種は過去からいくつか存在していた。しかしどれもこれもまともに印刷できない。2つのノズルの位置合わせを、3軸完璧にするのは民生機器品質では無理のようだ。

1ノズルでの多色印刷は、
・フィラメント交換
・ノズル内に残ったフィラメントの廃棄(パージタワー)
が肝となる。
積層方向に色替えするのなら手動でも可能だ。Prusaならスライサの設定で簡単にできる。6〜7回の色替えを行って印刷したことがある。しかし同一面で色替えがある場合など、フィラメント交換が数10回になると手動はもはや現実的ではない。手動でも行った色交換時のフィラメント廃棄を自動で行うのが上記装置の役目でもある。

今年4月以降、多色印刷可能な機種がクラウドファンディングで登場してきた。いくつか紹介する。
●AnkerMakeの「M5」と多色アダプタの「V6」
ebf3887f13a81030cf1249f664e1c16e_original.jpg
プリンタ自体はPrusaとさほど変わらない。カメラ付きとかタッチパネルUIを持ったコントローラーとか今風な改善はある。最大の特徴はV6という6色の多色印刷オプションだ。乾燥機能付きのケースにフィラメントを設置し、専用のエクストルーダーユニットに交換した本体に接続して使う。その最大の特徴は「パージタワーを生成しない」だ。
このオプションはクラウドファンディングのアドオンとして後日(2023年1月)出荷とのことで細部が明らかにされていない。わかっている範囲では、
・1ノズル
・エクストルーダー自体はV6側に存在し、フィラメントの1本を選択して押し出す
・6本のフィラメントのままエクストルーダーユニットに入力
じつは管理人はこのシステム一式を購入することにしてプレッジした。フィラメント6本セットなど含め$960ほど。本体は11月、多色オプションは来年1月と随分先だが楽しみではある。しかしパージタワー無しで本当に多色印刷可能なのか、いまだ疑問だ。

●Bambu Lab社「X1」および「AMS」
x1Series-main-bg-large.jpgCoreXYでエンクロージャー付き。高速・高温での印刷が可能で、PCやカーボンファイバー入などの高強度なフィラメントが使えるのが売りだ。最大16色まで可能な多色印刷オプションもある。多色印刷の構造は、MMU2と考え方は同じ。フィラメントを抜き差しし、ノズル内のフィラメントをパージタワーに捨てる。ただし、パージタワーになすりつける前に直接ノズルから排出もする。圧力を高めて排出できるのでパージタワーより効率は良いはずだ。パージタワーは仕上げ用なのか。

AnkerMakeをポチった勢いで、クラウドファンディング開始日に争奪戦に参加しそうになったけど、発送先に日本が含まれていなかったのが幸いした。技適関連がクリアできていなかったようだ。手続きが面倒な日本は後回しにされたようだ。

●BigBrain3D社「Swapper3D」(Prusa用ノズル交換システムのキット)
20cc41df-6d63-5539-42d7-dafce34b2ac5.jpg紹介動画を見ると、実に面白い動きをしている。1ノズルだがノズルそのものを交換しているのでパージタワーが不要だ。コンセプトは面白いが、キットなので再現性が多いに疑問だ。MMU2でも苦労するらしいがその比ではないだろう。さらに、
・ノズル交換後に、その位置を3軸すべてにおいて0.05mm程度の精度で合わせられるか
・Prusa本体の電源ですべての電力を供給できるか(MMU2の場合はそれも含めて)
この2点は疑問というより不可能とさえ思っている。クラウドファンディング開始から1週間少々だが、執筆時現在で実質60人程度しかプレッジしていないのが証拠かもしれない。これをプレッジするのはよほどの物好きと言える。無駄金になるのは必至だ。

なお、本キットはMMU2専用ではなくPaletteシリーズにも対応している。しかし、フィラメント接合は不要なので、接合部の前後でカットするという荒業で対応している。これはPaletteの最大の特徴をないがしろにする暴挙だ。
この会社は以前の記事で書いたように、Palette2/3用のP2PPオプションとしてパージメカニズムを販売している。調整には500回のトライが必要とあり、現実的でないと無視していたが、とうとうこんなものを作ったのかという印象だ。この装置も500回の調整が必要なのだろうか。こんなものに大枚払う気にはなれない。


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お高いkaikaノズル購入 [3Dプリンター]

高いだけで費用対効果が多いに疑問だった国産高精度ノズル「kaika」を購入した。

多色印刷での色移りがどうしても気になるが、途方も無い値のパージ量を設定するのは現実的ではない。ノズルも大いに影響しそうだと思い、交換をしてみた。現有のPrusa廉価ノズルから、クローンDragon Hotend添付の非真鍮(材質不明)に交換したら若干改善した。そこで、ノズル内のフィラメントの流れが良いとされるkaikaノズルを購入した次第。
IMG_3707.jpeg

結論から言うと、クローンDragon Hotend添付品より若干改善、つまり今まで主に使ってきたPrusa廉価ノズルよりだいぶ改善したようだ。とはいえ、ある程度のパージ量は必要でありkaikaと言えどもやはり万能ではなかった。1ノズルでの多色印刷の限界を見た思いだ。
IMG_3720.jpeg<左>
・Prusa廉価ノズル
・パージ量:280mm3
・ワイプタワー29g
<右>
・kaikaノズル(0.4mm、E3D互換)
・パージ量:500mm3
・ワイプタワー41g
この通り色移りは皆無と言って良い。ただし本体が19gに対し、ワイプタワー(ゴミ)は41gもある。流れの良いとされるkaikaノズルでもこの程度なので、結局1ノズルでの多色印刷の限界かもしれない。

というわけでPalette3 Proでの多色印刷はひとまず区切りとする。実用的なものはほとんど作っていないが、ネタがあれば失敗なく作成できる自信はある。
昨今多色印刷可能な新しいマシンが登場している。これらに対しても、多色印刷経験者として一家言を持つことができたのは大きい。実はそのうちの1機種を購入することにした。これに関しては別記事にして記載しておきたい。

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Palette3で、こまごましたことを試す [3Dプリンター]

Palette3 Proを試用し始めて2か月にもなる。いつまでも「試用」ではまずいのだが、解決すべき問題や試したい機能などあり、本格的な利用には至っていない。そろそろ出尽くした感もあるのでこのへんでまとめておく。

●色移りとパージ量
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以前色移りしてしまったモデルで、パージ量を設定し直して再トライしてみた。しかし結果は全く変わらず。青赤ともに色移りしている。
・左:以前の試作品:CANVAS:パージ量はデフォルトの105mm
・右;今回の試作品:P2PP:パージ量は350mm3(=145mm相当、白への遷移時の設定)

設定値を調べるため、2色の簡単なモデルで試してみた。
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IMG_3700.jpeg
見ての通り500mm3(=208mm相当)でもNGだった。人間の五感は、低刺激時の微小な変化に敏感で、このような僅かな色移りでも比べるとわかってしまう。色替えごとに20cmもフィラメント無駄にしてもまだ足りないのだ。これは実用レベルとは言い難い。結論として、白は使うべきではない。濃い色側の黒も使うべきではないかもだ。

その後、エクストルーダーを回してノズルから排出する色を見て、適切なパージ量を調べてみた。150mmほどでも良さそうに見えた。200mmもあれば十分なはずだ。実プリント時と操作パネルからエクストルーダーを回転させたときとで流速に違いでもあるのだろうか。つまり実プリント時は勢いが足りず色替えが進まないのか。
はたまたノズル内の形状がなめらかでないか、もしくはカスでも溜まって流れが悪いのかもしれない。今度コールドプルしてみよう、いっそのこと内壁が極上と言われるお高いKaikaノズルを試すのもいいかもしれない。

●PrusaSlicerの機能を試す
PrusaSlicerの新しいバージョンには多色印刷のための機能が充実している。MMU2向けの機能だが、P2PPならPalette3でも使える。
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色指定においてくちばしは自動領域判定の「スマートフィル」を使い、目はブラシを使った。着色そのものはすこぶるいい。まるで後から接着したかのように色の境目がきれいだ。相変わらず色移りは多い(パージ量:280mm3)のが難だ。

●硬いフィラメントで「事故」
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PolyTerra3色を含めて4色印刷してみた。最近良く見るミニドラゴンだ。4色目にidbox添付の古いフィラメント(オレンジ)を使ってみた。このフィラメントは割とかためで、Palette3の入力部ギアで時々きしみ音がしていた。ダメ元で使ってみたのだが、後半で混色してしまった。目の辺りのオレンジの帯がこれだ。Ping値を見ると、多くは99あたりの値だったが、途中2回の93台があった。フィラメントが固く、ギアが滑って送り出しが不完全だったのかもしれない。やはり異音がしたら使うべきではなかった。

●Mosaic社のロゴはサンプルとして不適格
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Mosaic社の説明書きを見ると最初のプリントサンプルとして、Mosaic社のロゴのキーチェーンを使うように書いてある。しかしこれはまったくもって適していない。
同一層での色替えが正しくできるか否かがいちばん重要なのだが、このサンプルは1層目に1回の色替えがあるのみ。上部に色替えがあるがこれは層単位でありPalette3のメリットを生かしたものではない。1層目は底面なので裏返さないと見えない。
このような不適格なモデルをサンプルに使わせるのは、Mosaic社の意図であるのは明白だ。1層目の色替えはよほどのことがない限り失敗しない。後にPing値がとんでもない値なったとしても、初期のフィラメント長は正確に算出できるはずだからだ(それでも管理人は失敗していたが)。最初のトライで成功させたい意図が見て取れる。これで成功したつもりでも、その後茨の道が待っていることは、初心者ユーザーの知る由もないことだろう。


これでようやく区切りになるはずだが、今後もこまごましたことを試していそうな気もする。永遠に「試用」が終わらないのかもしれない。

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P2PPのパージ関連オプションを試す [3Dプリンター]

IMG_3691.jpegP2PPには、パージを極力少なくするオプションがいくつかある。最終的に1つを試しうまく行ったのでメモを残しておく。

P2PP解説書類の後半に「Special Features」としてパージを減らす機能についての説明がある。大別すると以下の3種類あり、それぞれ特徴がある。

●Side Wiping
・ノズルを端に寄せ、色替え時のパージをそのまま垂れ流す
・Bed Side Purge、Stationary Side Wipeの2種類がある
・人手でパージをピンセットでつまんで捨てなければ、きれいな造形にならないと思う
・実用性があるか大いに疑問

●Big Brain 3Dメカニズム
・専用のアタッチメントを装着してパージを球状にして捨てる
・アタッチメントはBig Brain 3Dから購入できる($19.99〜$39.99、送料無料)
・もともとはMMU2向けのようだがP2PPでPaletteに対応した
・仕掛けは面白そうでパーツを購入してみたいが、MMU2同様に製作や設置での
 テクニックが要求されそう
・関連したコマンドが多数用意されている

●Tower Delta
・ワイプタワーは造形面に合わせて高さを増やしていくが、これを削減しようというもの
・色替え時はワイプタワーの高さまで降りていってパージを捨て、再び上昇して造形する
・PrusaSlicerの「プリント設定」「出力オプション」「個々のオブジェクトを完成さる」
 と同様の動作になる
・よってホットエンドやX軸のアームが接触しないよう、造形物とワイプタワーを適切に
 配置する必要がある
・基本のTower Deltaの方は、何を設定してもPURGETOWERDELTA値が不適切と
 エラーになってしまった
・結局、Tower DeltaのFull Purge Reductionで実施してみた
 - スカートがあると干渉するとかでエラーになる
 - よって冒頭の写真のようにいきなり本番プリントになる


IMG_3692.jpeg結果は良好で(写真左)、ごくわずかなパージタワーで造形できた。ただし、効果があるのは色変化が少なく高さ方向に同色が続くような場合だけだ。今まで試し印刷してきたモデルの中では、Mosaic社のロゴがこれに相当した。パージタワーの重さが3g(写真右)→2g(写真左)に減らせた。

ようやくPalette3 Proを完全攻略できた。本来はここから実用していくのだが、過去何度も書いたようにすぐにもプリントしたいものがない。現状では無駄が多すぎてその気になれないのだ。多色印刷の見本として3DBenchyなどあるが、このために原色系のフィラメントを開封する気にもならならない。とりあえずBig Brain 3Dメカニズムのパーツを購入して、到着したら再開しよう。そのときは原色系フィラメントをおろしていくつか作ってみたい。

<後日追記>
Big Brain 3Dメカニズムの資料を見られる機会があって、ちょっと覗き見したら「少なくも500回のパージテストをしろ」とあった。パージ量が大幅に減らせるのなら別だが、1ノズルでの色替えは最小限のパージは必要で、500回の試行錯誤に対する費用効果が低すぎる。500回に耐えられる根性もない。
結局Tower Deltaで十分だろう。配置に失敗して造形物を壊すことがあったしても、500回に比べたら僅かなものだ。

というわけでPalette3の多色印刷チャレンジはひとまず区切りとなった。

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Palette3のP2PPも攻略! [3Dプリンター]

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Palette3のスライサーは、Mosaic社提供のCANVASを使うのがデフォルトとなっている。しかしコミュニティの作成した「P2PP: Palette2 Post Processor」を使えばPrusaSlicerを使うことも可能だ。Palette3による多色印刷でもPrusa MK3S+を使う以上PrusaSlicerを使うメリットは大きい。名称はP2PPだがPalette3にも対応している。

しかし例によってこれも手こずった。Palette3 Pro納品直後は、CANVASでなかなかうまく行かなったので、わらにもすがる思いでP2PPを試したのだが案の定ダメだった。CANVASで問題なく印刷できるようになってP2PPを再開した次第。今回もまた手こずったが、ようやく失敗なく印刷できるようなった。その設定方法などメモしておく。

●PrusaSlicerの基本設定
このページおよびこのPDF資料を参考に、PrusaSlicerの「プリント設定」「フィラメント設定」「プリンター設定」を行う。すべてPalette3専用の設定となるため、ユーザープリセットとして保存しておく。

●PrusaSlicerGコード設定
一番わかりづらいのが、「プリンター設定」「カスタムGコード」の「Gコードの最初」に付け加える設定だ。「;P2PP」で始まり、各種設定値を書く。その中でも注意すべき項目を以下に記載しておく。

;P2PP SPLICEOFFSET=40
最初のスプライスに追加する量。全体がこの設定値だけシフトするので、パージ内での色変換する位置を設定できる。CANVASのTransition Positionに近い概念だが、こちらは%ではなくmm。どこかの資料に%と書いてあったが大間違い。資料にある通り、40mmくらいが妥当だった。
;P2PP MINSTARTSPLICE=130
130でないとなぜかWarningが出る。
;P2PP MINSPLICE=90
パージ量を指定するわけではなく、何に使っているのか不明。混色したとき、この値を変化しても効果はなかった。
;P2PP EXTRAENDFILAMENT=100
最後に追加する量なので、そんなに多くはいらない。

●パージ量の設定
CANVASのTransution Lengthに相当するのがPrusaSlicerの「パージ体積」。CANVAS同様にマトリクスで設定もできる。この値はPrusaのMMU2向きの値なので「アンロード済」「ロード完了」と2つの値があるが、合計値が使われる。
単位はmm3なので、長さに2.4(直径1.75mmの円の面積)をかけた値になる。CANVASのデフォルト値105mmの場合は、約250mm3になる。よってこれを半分にして125、125で設定している。
CANVAS同様に、白などの薄い色に変化する時は、この量を増やせばいい。設定値を「高度な設定を表示」でマトリクス表示するとわかりやすい。

●P2PPの実行許可と動作
P2PPはアプリケーションなので、ファイル解凍後アプリケーションフォルダにコピーしておく。とりあえず起動すると認証がないとかの警告が出るので、一旦終了してMac OSの「システム環境設定」「セキュリティーとプライバシー」で実行許可を与えておく。
PrusaSlicerでスライス後、Gコードのエクスポート時にP2PPが起動して生成されたGコードに細工をする。加工したGコードは、WifiでPalette3に転送される。このとき生成されたmcfxファイル名に日本語などが入っていると、ホストが応答しないなどの不可解なエラーになるので要注意。

●Palette3側の設定
初回実行時、新規のプリンター設定が作成される。このときのHM値は98が設定されるがこの値では全くダメだった。管理人の場合は103で始めたら良好な結果になった。同じモデルでHM値と生成されたPing値を並べると以下のようになった。
・HM=98 Ping: 107台・・混色
・HM=100 Ping: 105台・・混色
・HM=103 Ping: 101台・・成功
Ping値が100に近くなるよう初期のHM値を設定して詰めていけば良い。手間取った理由はこれを理解していなかったからだ。Mosaic社の資料にも、こんな単純なことが書いてない。実に不親切だ。当たり前過ぎて記載漏れすることは良くあることだが、管理人のようにこれに気づくまでに2か月弱も要してしまう鈍い人間もいるのだ。

Palette3 Proの納品から2か月弱。失敗やパージタワーなどで浪費したフィラメントは合計1kgくらいはあるだろうか。その程度で使いこなせるようになったので良い方かもしれない。さてこれから何を作ろうか思いつかない。手持ちのフィラメントは多色印刷に向いたような原色系が少ないし、本体の数倍に及ぶパージタワー、つまりゴミを作るPalette3の方式にすでに限界を感じている。これを活かせる造形物はなんだろうか思い悩まねばならない日々が続きそうだ。


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Palette3の動作モードとPing/Pong [3Dプリンター]

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先日ようやく攻略できたPalette3 Proだが、いくつか概念が理解できずそれが原因で遠回りしていた気もする。Mosaic社のサイトにはこれらについて説明しているページもあるが、表面的だったり、Palette2など旧製品の説明が混ざっていたりと不十分かつ不正確だった。忘備録も兼ねてここに記載しておく。

●動作モード
コネクテッドモードとアクセサリモードが存在する。表面的な機能の違いは以下の通り。
・コネクテッドモード
 - Palette3からUSBケーブルを通じてプリンタにGコードを送出する
 - CANVASでの生成ファイルは1種類で、Palette3に送るだけでいい
 - フィラメントをプリンタにロードしたらPalette3側で印刷を開始する
 - 手軽に使える
・アクセサリモード
 - Palette3とプリンタが独立して動作する
 - CANVASで生成したmafxファイルはPalette3で、Gコードはプリンタで実行する
 - Palette3側でフィラメントが準備できたら、プリンタを操作して印刷を開始する
 - 若干手間がかかる

●Ping
フィラメント消費側のフィードバック。Palette3からプリンタを経由したループになっている。
基本的にPalette3は(初代Palette、Palette2でも)、CANVASで生成されるファイルを元にフィラメントを生成する。一方プリンタは供給されたフィラメントをGコードにしたがって消費していく。両者は非同期の関係にあり、処理が進むとズレが累積していく可能性がある。そこでフィードバックを形成するのがPingだ。

Palette3は出力チューブの端部分にロータリエンコーダがあり、これで実際のフィラメント消費量を計測している。一方Gコードにはフィラメント消費量の計測点を示す特殊なコードが埋め込んであり、このコードをプリンタが実行するとPalette3側でこれを検知してフィラメント消費量の想定と現実の差異を見出す。これは今後のフィラメント生成に反映される。
その特殊なコードでのプリンタの挙動は、
・13秒停止
・20mm印刷
・7秒停止
となっていて、Palette3のロータリエンコーダでこれを検出する。この手法は初代Paletteからある方法であり、Palette2およびPalette3の「アクセサリモード」ではこのように動作する。一方「コネクテッドモード」では、Palette3側からGコードを送出するので、プリンタの挙動を見ることなく送出データを用意した時点でPingを検出できる。よってこのモードでは停止などの動作はしない。

一見かしこいコネクテッドモードだが、Gコードを送出した時点ではまだプリンタの動作は完了していない。つまりロータリエンコーダでの計測値は少なめに出るはずである。この差をどのように吸収しているのか不明だが、心なしか精度を欠いているようだ。つまりアクセサリモードの方が精度が高いのではないか。

●Pong
フィラメント生成側のフィードバック。Palette3内でループを形成している。
Gコードから想定されるフィラメント必要量と、実際に生成した量を比較している。生成量はPalette3内の「バッファ」部分にある2か所のスイッチのタイミングによって算出しているとのこと。これに関してはさらなる詳細は不明。


Ping/Pongに関しては、こちらのページを読んでもさっぱりわからなかった。何となく分かる程度でもどかしかったが、こちらこちらのページでようやく理解できた。この2ページは初代Palette時代の説明文のようだが詳細に書かれておりその理念がわかる。ただしPingとPongにより検出した差異をどのようにフィラメント生成に関与しているか詳細は不明。これ以上はMosaic社の内部情報になるのかもしれない。

なお冒頭の写真は、完成した直後にノズルが煙突部分を押し付けて溶かしてしまったもの。CANVASが生成するGコードでは、プリント終了時の挙動が遅かったので、PrusaSlicerでの設定をそのままコピーしたのが失敗だった。Z軸を0に戻してしまいそのまま造形物に激突してしまった。完全に確認不足だった。

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Palette3 Pro攻略! [3Dプリンター]

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納品から1か月半近く要してPalette3 Proで所望のブリントができるようになった。長いトンネルをようやく抜けた気分だ。先日の記事ではフィラメントの違いで成否が決まるようなことを書いたがそうではなかった。

主にやったことは以下の2点。
・出力チューブを添付品最短の57cmにした
・Palette3とは独立して動作するアクセサリモードで実施
改めてPalette3 ProとPrusa MK3S+での組み合わせの設定を以下に記載しておく。

<前提>
・スライサ:CANVAS
・出力チューブ長:57cm
・アクセサリモード

<造形物の大きさ>
・結論:消費フィラメント1.4m以下の造形物はプリントできない
・本体80cm、出力チューブ57cmの合計約1.4m以下のものは、チューブから
 出てこないのでプリント不可
・最初は小さいものでテストしたくなるので要注意

<Palatte3側のプリンタ設定>
●Loading Offset
・結論:MK3Sのデフォルト値(95mm)をそのまま使う
・エクストルーダーのギアからノズルまでの長さであり、入り口からではない
・ここで設定した長さだけPalette3本体から引き出したらプリント開始できる
・残り15mmあたりからプリント開始可能になるが、それ以前だと「Next」が
 押せず開始できない
・この値は生成するフィラメントの長さに影響を与えない

●プリンタへのフィラメントロード
・結論:自動ロードは使わず、エクストルーダーを回して95mmだけ送り出す
・Prusaの自動ローディングでは95mm以上費やしてしまう
・これにより色替えのタイミングが前倒しになって、初回色替えで失敗することもある
・ノズル内に前回の別の色があった場合、ロード時に繰り返しパージすると、
 色替えタイミングが早くなり確実に失敗する
・その際は、最初に使う色で予めノズル内を「洗って」おく
・Palette3が出力したフィラメントに余分は一切なく、ノズルの先に到達した時点が
 始まり

●HM(Historical Modifier)
・結論:デフォルト設定の98%はNG、100%とする
・この値が低いと色替えが早くなり、デフォルト値では初回ギリギリ、2回目以降では
 混色してしまった
・100%始まりにしておくと、ping値は99%台もしくは100%台で推移する 

●出力チューブ長(Outgoing Tube Length)
・結論:57cmチューブを使用し、設定値も57cmとする
・110cmチューブだと設置自由度が増すが、誤差が多くなるようで今までの失敗は
 これが主な原因だった模様、最短の57cmを使うべき
・デフォルト設定値の57cmだとわずかにエクストルーダーギアに足りず、
 ローディング時にチューブから引き出すことになる
・このとき出力長を計測するエンコーダーが回転するが、フィラメント消費量を
 正確に計測するためにはむしろ回転したほうがいい
・以前は長めの+2cmの設定をしていたがロード時にわずかだがエンコーダーが
 回転しない長さが存在し、消費量の計測が不正確になると思われる

<CANVASの設定>
●スプライシングチューニング
・結論:硬めは「4, 4, 4」、柔らかめは「2、2、2」
・デフォルトの「0、0、0」では接合部分のはがれや細ってしまう症状が発生した
Palette3本体で実施するチューニングで「-1, 0, 1」に設定したら良好だったが
 本番ではがれが起きてしまった
・どこかに「とりあえず4, 4, 4で試せ」とあり、その通りにやったら良好だった
・PolyTerraは柔らかめなので
「2、2、2」に設定

●その他の設定
・結論:デフォルトのままとする
transition(デフォルト30%)を増やすと(例えば40%など)、色替えの位置を
 後ろにずらせるが
上記をやっておけば位置関係で困ることはない

IMG_3670.jpeg糸引きが凄まじく配色も良くないが、これでも成功である。混色は一切ない。が、喫水線あたりから甲板の黒が色移りして赤が濁ってしまった。赤に遷移する時はパージ量を多めにしたのだが足りなかったようだ。なお糸引きはフィラメントの質とそれに見合う温度設定が不十分だったことが原因。もう10度ほど温度を下げれば少しはマシになったはずだ。

冒頭の写真のように相変わらずパージタワーの量、つまりゴミが大量に出る。パージ量を多めにした分、以前失敗したときより更に多くなっている。ここまで手間ひまをかける価値があるのか疑問にさえ思えてきた。Palette3 Proを攻略できたと満足感に浸るしかない。


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